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ひとひらの書 第14話 『女生徒』 中

    Ron B
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      A 7 gif   第14話・・・『 女生徒    

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      A 15 gif ひとひらの書 第6 女生徒 太宰




      アインシュタインの一般相対性理論では、銀河などの質量を持つ天体(一般に物体)があると、その影響で時空が歪むことになる。
      背景の天体から電磁波がやってくると、その歪んだ時空を通過することにより、電磁波の進む経路が変わる。これを観測者から見ると、電磁波がいろいろな方向から視線に入り込んでくるため、あたかも重力源(この場合は銀河)がレンズのような役割を果たしているように観測される。
      これを重力レンズ効果と呼ぶ。(図1と図2を参照)
      図1は重力レンズ効果。図2に示した例は、銀河団が重力レンズ効果を引き起こしている場合である。この銀河団(Abell 2218)は約21億光年彼方にある。背景にある、もっと遠い所にある銀河の像が、重力レンズ効果でアーク(弓)状に見えている。銀河団にはダークマター(宇宙の暗黒物質)がたくさんあるので、非常に顕著な重力レンズ効果を発揮する。これを「強い重力レンズ効果」と呼ぶことになる。

      だざい太宰治 女生徒 18 図1 W500H378
      図1 強い重力レンズ効果の概念図。

      だざい太宰治 女生徒 19 図2 W500H291
      図2 強い重力レンズ効果の例。21億光年彼方の銀河団Abell2218に付随するダークマターの重力によって、この銀河団の背後にある、より遠方の銀河が重力レンズ効果を受けてアーク(弓)状に見えている。

      一方、弱い重力レンズ効果と呼ばれるものがある。
      それは銀河団などの顕著な構造がなくても、銀河が適当に集団化していると、その背景にある銀河から放射される電磁波は弱いながらも重力レンズ効果を受ける。
      その場合、強い重力レンズ効果の場合のように、銀河の姿がアーク状に見えることはないが、少しだけ変形して見える(図3)。これを「弱い重力レンズ効果」と呼ぶ。
      視野に見えているたくさんの銀河の形状を統計的に調べて、どの方向にどの程度の質量があるかを調べることができる。そして図3は、この弱い重力レンズ効果を使って調べた、ダークマターの空間分布である。

      だざい太宰治 女生徒 20 図3 W240H193  だざい太宰治 女生徒 21 図4 W240H193

      図3 弱い重力レンズ(WEAK LENS)効果。(左)ランダムな銀河分布。(右)左図のランダムな銀河分布に対して、弱い重力レンズ効果が効いている場合の銀河の見え方の例を示す。銀河の形状がレンズ効果で歪んでいることに注意。

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      宇宙の質量密度を調べると、陽子や中性子(バリオンと呼ばれる)など、我々の知っている物質が占める割合は約1/5でしかない。残りの質量密度はダークマターと呼ばれる正体不明の物質である。したがって、宇宙の大規模構造は主としてダークマターが決めていることになる。なお、ダーク(暗黒)と呼ばれるゆえんは、ダークマターは電磁波を出さないので、私たちには見えないからである。
      ちなみに、質量とエネルギーは等価なので、宇宙のエネルギー密度も調べることができる。
      宇宙には見える質量(バリオンの質量)とダークマターの質量が担うエネルギーの2倍強のエネルギーがあることがわかっている。これはダークエネルギーと呼ばれている。ダークマター同様、ダークエネルギーの正体も不明である。
      以上のことは、「ダークマターの中で銀河が育つ」銀河形成論を観測的に検証したものだ。
      宇宙の中で、たくさんの銀河が泡状の大規模構造を作って分布していることが 1980年代後半にわかり、銀河形成論に大きなインパクトを与えた。また、そのような宇宙大規模構造がどうしてできたのかが大きな謎として呈示されていた。
      銀河や、銀河の作る構造は、宇宙初期に生じた密度の小さな揺らぎ(凹凸)が少しずつ成長して、130億年余の時間をかけて進化してゆくと考えられている。
      その際、目に見える物質の揺らぎだけでは、構造が成長するまでに時間がかかりすぎる問題点がある。そこで、目に見える物質よりも数倍質量密度の高い、ダークマター(暗黒物質)があり、その密度の揺らぎがまず濃くなってゆき、その中で銀河の「種」の成長を促すというアイデアが提唱された。
      ダークマターの存在は、近傍の銀河や銀河団の観測から知られていたが、これが宇宙の大規模構造の形成にも重要な役割を果たしていたという考え方である。
      それでは、「目に見えない」ダークマターは、実際の宇宙の中では、どのように分布しているのだろうか?。そして、銀河の形成とはどのように結びつくのだろうか?。
      そこで、「重力レンズ効果値測」と呼ばれる手法を用いて、視野内のダークマターの分布を調べることになる。目には見えないダークマターも、「質量」は持っている。ある場所に質量を持つ物質がより集中して分布していると、相対論的効果によって背景の天体の像にゆがみ(重力レンズ効果)が生じる。この「ゆがみ」の程度によって、そこにどれだけの質量があるのかを推定できるのである。
      小生は今、こうした質量計算法を応用して人間の脳内感性質量の測定を進めている。
      人間の感性には宇宙と同じようにダークマターの分布がある。
      例えば人が文章を創るという感性には、暗黒物質との関係で形成される。
      これ以上ここでは述べないが、太宰治の作文は、この暗黒物質の作用効果が著しい。つまり、彼の作品の多くが「重力レンズ効果」で形成されている。
      未だ研究・検証の途上ではあるが、「太宰は突出した重力レンズ効果能力を保有する」と推察している。現在、応用言語学科学研究の進歩はこのような段階に突入した。
      太宰治の特異なる文学資質は、やがて新しい時代の文学表現観測研究の方向性をも提示させようとしている。小生にとってこれほど優秀な文体を創る作家は、抜群の研究被写体である。

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      さて、さて堅苦しい前置きとなってしまった。
      話を太宰の『女生徒』に戻ることにする。
      この短編集で、どの短編も女性一人称で書かれている。みんな夢見がちだけど、心のどこかで現実の残酷さに気づいている、あるいは現実を直視しなければならない状況にある。そして、そんな彼女たちの心情が、太宰治の綺麗な日本語で上手に描き出されている。
      その中で一つ、小生の好きな描写をご紹介する。
      「おやすみなさい。私は、王子さまのいないシンデレラ姫。あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?もう、ふたたびお目にかかりません。」
      じつは小生、最初この本は、イングランドへの旅行中、列車の中などの移動中に読んだ。
      西洋の国で純日本文学を読むというミスマッチさが何とも心地よく、まるで女生徒に出てくる女性(主人公)のように、異国の地で1人酔いしれていた。
      そのようにこの本は、小生がある種成長していく中で、どうやら失くしかけていた夢見る気持ちを思い出させてくれた。今考えると、そこに重力カレンズ効果を見出せる。
      太宰はイングランド地方で読まれるために書いたのではないだろう。
      だが、この一冊は、読み手が普段とは違う浮力状態にあるとき、ことさら効果を発揮するようだ。

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      近年、角川文庫の太宰治生誕100年フェアの装丁が眼に止まり、思わず太宰を5冊ほど買ってしまった。小生の中では「津軽」を読んでから、やはり太宰治の暗いイメージ(での読まず嫌い)ががらりと変わって好きな作家になったという経緯なので、大方は書斎の棚に並べ尽くしてはいるが、歳相応にまたいろいろ再読したいと考えている。
      しかし最近、新潮文庫で「ヴィヨンの妻」を読んでから今回この「女生徒」を再読したのであるが、同じ短編が被っていたりしたので、同じ文庫でそろえた方がよかったのかも知れない。だが何度読んでも好いものはや、やはり良い。やや不経済だが、佳いことが加速し進化するのであるから、万事よかったのである。
      ちなみに角川版の「ヴィヨンの妻」にはどうやら映画化された「パンドラの匣」も収録されている。新潮版には入っていなかったが、小生は新潮文庫の「パンドラの匣」を買ってました。少し余談だが、しかしこれなども被写体が太宰であれば、そんなロスも御愛嬌というものであろう。
      またやや個人的な話になるが、小生は何度か『女生徒』を読むうちに、女生徒は夏場の猛暑の盛りに効果を発揮する効能があるように考えている。
      一度、夏バテ気味でちょっと読書が億劫な時期に読んでみたのだが、すると、するすると文章が入ってきて、短編集で短いし、とてもいい短編が多いせいか、妙に食欲までが増加した。
      この夏バテ予防効果の太宰について、以前、現役の女子大生数人に意見を聞いた。
      すると太宰の「おさん」を読んで(新潮の「ヴィヨンの妻」にも収録されていたので、2度目でしたが)一人の女学生は次のように思ったという。
      「太宰は女はバカで、でも強い存在なんだといい意味で知っていて、それに甘えてふらふらしてたんじゃないかなあって。で、一番甘えてたのは奥さんなんじゃないかなあって。なんかそう思って、ほほえましいような哀しいような、なんともいえない気持ちになりました。でも、強くても、男がいなくなったら寂しいんだよ。それもわかってたろうに。「おさん」は何度読んでもそう思って切なくなりそうです。たしかに本が切ないと、その反動のせいか、太宰を読んだ後は、甘いケーキが欲しくなりますね」と。
      そして次のような女学生もいた。
      「太宰でステキだったのは「葉桜と魔笛」。恋に恋する少女たちの切ない想いが、ぎゅっとこめられた切ない物語で、短くて無駄がなくて切なさの結晶みたい。「皮膚と心」も好きだったなあ。夫婦になってもいつまでも恋をしている、そんな二人が切なくもほほえましいなあと思いました。あと、女のふとした衝動を描く「誰も知らぬ」も切なかったし、「きりぎりす」は富を得て変わっていく夫を見つめる妻の目が切なかったし、「貨幣」は面白い視点で女の母性や強さを描いてて印象深かったし、「恥」は女の自意識過剰さを面白く読んだし、と、思えば、どの短編もいろいろな味わいを見せてくれて、一辺倒じゃない面白さがありました。あれほど切ないと、やはり食欲は減退することはないでしょう」と。
      さらに次の女学生は傑作であった。
     「ヴィヨンの妻では、太宰が投影されたダメな男の面倒を見るような短編が多く、女性視点の私小説みたいな作品も多く見られて、どうしても暗い影がつきまといましたが、この作品集は本当にバラエティに富んでいて、作家としてのってた時代の作品が揃ってるんじゃないかな、と、何も調べずにそう思い込んでしまいます。女が読んでも切ない、そして女は強いんだよな、そうだよな、と思わせるような、味わい深い短編をじっくり堪能した気に満たされました。さて、次はどの太宰を読もうかな。と、考えると、まずその前に腹ごしらえが必要です。私、太宰の女生徒を読む前に、あん密三個、食べましたよ」と大笑いした。

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      以上のような女子学生との感想交換を踏まえると、次回の後編(下)にては、女学生が太宰の『女生徒』に即して彼の文学性質をどう汲むか、という面白い課題に深く接近してみようと思う。
      そのことは、老若男女を問わず我々日本人めいめいの文学観・言語観を、あるいは発達観を、ある種サンプルとしてのテーゼとつきあわせ、検討することでもあろう。
      より細かく砕き宇宙の暗黒物質としての太宰を論じたい。
      やはり心理の重力として考える太宰効果と効能は面白いのである。


      だざい太宰治 女生徒 16 W500H267
      太宰治(1909~1948)
      青森県津軽に生まれる。本名は津島修治。18歳で芥川龍之介の自殺に衝撃を受けて以降、計四度の自殺未遂を繰り返す。帝大仏文科に入学するも授業料未納で除籍。人間の偽善と虚無を描く自虐的な作風で「無頼派」と呼ばれ、戦後文学の第一人者となる。39歳で玉川上水に女と投身心中。他の代表作は「斜陽」「走れメロス」「人間失格」「津軽」「グッド・バイ」など。

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      だざい太宰治 女生徒 17肖像 W500

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                        読了記  第15話に続く・・・連載

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