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京都風土記『花そとば』 第49話

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   Web小説    はなそとば 文字 正

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              第二部 山端の巫女(やまはなのみこ)   49

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      十一  花卒塔婆 (はなそとば)   



 雨田虎彦は、秋空に向かって眼を閉じている秋子の横顔を静かに窺った。
 雲一つ騒がない長閑な広がりに秋子は眼を向かわせている。何かを祈るかに巫女が眼を閉じてみる、その空が穏やかであるほど、伸びやかであるほど、しだいに虎彦は緊張が増した。
 そして指先は振るえ、老いた鼓動がくつくつと高まる。

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「笹竜胆(ささりんどう)・・・!。この家紋の意味を、この25歳の娘は理解しているのであろうか?・・・」
 いずれ決着せねばならない大きな存在であろう。以前から阿部家の紋を素朴な疑問の存在として感じていた。今改めてそう感じると、他家の事ではあるが、虎彦は溢れ出しそうな泪に、親指を押してそっと堰き止めた。悪戯に巫女の領域には踏み込まないと思っていたが、それでも近づこうとする自分が居ることを虎彦は感じた。
「笹竜胆は・・・、日本最古の家紋ではないか・・・!」
 その笹竜胆が何の気どりもなく一家族の家門にさりげなく存在することが虎彦は以前から気掛りであった。秋子が手にする篠笛がそうである。手に取れない笛ではあるが、たしかに刻印をみた。一度、和歌子から手紙を貰ったが、その封書は笹竜胆の透かしで密封されていた。和歌子の着ていた藍の紬にも認められた。

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 源氏(みなもとうじ)は、「源」を氏・本姓とする氏族である。そして姓(カバネ)は朝臣であること意味する。朝臣は、日本において皇族が臣下の籍に降りる(臣籍降下)際に名乗る氏である。その一つが清和源氏なのであるが、他にも多数の流派がある。そうした姓(かばね)の代表的なものとして、平氏・藤原氏・橘氏とともに、源平藤橘を加えて「四姓」と総称される。
 この四姓の中に源氏(げんじ)がある。
 またその源氏には、嵯峨天皇から分かれた嵯峨源氏や、清和天皇からの清和源氏を含め、二十一の流派(二十一流)がある。中でも家格が最も高いのは村上源氏とされ、室町幕府の成立まで源氏長者を有した。また、平安以降臣籍降下が頻発すると源・平の二姓ばかりになるが、順位は「一世王、二世王が源、三世以降が平」だった。源姓(本姓が源氏)の家系はそれぞれ別の苗字を号しているため、現在「源」を今日的な意味の姓として名乗る例は多くなく、推定人口は4,000人ほどである。

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 嵯峨天皇が生まれた子らに源姓を与えたことに始まる。
 皇室と祖(源流)を同じくするという名誉の意味をこめて与えたものだ。
 嵯峨天皇に皇子皇女が増え、朝廷の財政を逼迫させる基にもなることから、早くに臣籍降下することが皇胤にとって子孫繁栄の道であった。親王ながら皇位を望めない場合や、諸王にあって親王宣下を望めない皇族が自ら降下を求める場合と、朝廷から一方的に降下させる場合とがあり皇別氏族を取り巻く状況は朝廷の財政事情と常に連動する要素が強かった。
 そもそも源氏姓は、嵯峨天皇の後の天皇も度々皇族を源氏として臣籍に下したことから、嵯峨天皇を祖とする源氏を嵯峨源氏と称する様になり、以後、源氏はそれぞれの祖と仰ぐ天皇の号をもって氏族の称とした。仁明源氏、文徳源氏、清和源氏、宇多源氏などがそうである。
 また、朝廷が皇族を臣籍降下させ源氏とした背景としては上級貴族として皇室の藩塀とすることという理由もあった。しかし実際には三代目以降も上級貴族であり続けた例はほとんどなく、大半は受領階級として地方へ赴任しそこで土着して武士化するか、中央で中下級貴族として細々と生き延びた。他に皇族に対して賜った姓としては、在原朝臣・平朝臣などがある。
 こうした経緯の中で、使用された代表的な家紋が「笹竜胆」で、これが日本最古の家紋なのである。

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「そう言えば・・・エンドウの花・・・!」
 駒丸扇太郎が語っていた言葉を虎彦はふと思い出した。
 秋子の祖父富造が東京から奈良に向かったという万寿寺の一件である。あのとき富造は御所谷の五郎を伴わせて斑鳩の里にあった。その法輪寺へと辿る途中でエンドウの花の白さに眼を止めたことを語っていた。その花が虎彦の眼に降って下りるように湧いた。そして酷く強いねじれを感じた。
「かさね・・・!。黒豆は大好きだよね・・・!」
 いかにも唐突に、傍にいる香織に顔を向けるとそう訊いた。香織はキョトンと眼を丸めた。それこそが突然降って湧いたような虎彦の言葉であった。
「へえ~・・・黒豆・・・。おせちの・・・あの黒豆、あれ、うち大好きやけど・・・」
 と、釣られてそう応えはしたが、それがとうしたのかという眼を香織はパチパチさせた。そうは言ったが虎彦は一向に言葉を返そうとはしないのだ。しかし香織もまた何の言葉も足さなかった。
 虎彦は黒豆の育ちを眼に泛かべ、その弦(つる)の捲きようの変化(へんげ)を想っていた。
 黒豆も、枝豆も、豌豆(えんどう)であれ、その正体は大豆である。祖先を辿ればどれも野生のツル豆となる。普通の大豆には弦がないが、中国などの大豆には、茎が弦になって捲きつく品種もある。これらの豆が弦を巻くと左回りに捲き上げる。朝顔の弦も同じである。
 大半の捲き方が左回りとなる。その捲き方は種によって決まっていて、左回りが多い。しかしそうした中にあって藤の花の弦は右回りなのである。虎彦は一度、アサガオの弦が宙をさ迷っていたので、適当に棒に捲きつけてあげたことがあるのだが、、それがどうも右捲きであったらしく、翌朝みると、アサガオは自分でほどいて左回りに捲き直していた。
 そのように「ねじれ」と「捲き」の間には神秘で深い関係で成立する。弦を捲く植物が進化し続けてきた道筋が覗えた気分になった。そう感じたことをふと思い出すと、虎彦は阿部家もまた同じような進化にさえ思われるのであった。阿部家が現在の茎を従来の弦に変えて、もう一度山端の集落に捲きつけば、新たに早く上に伸びて、集落が光をたっぷり浴びられるような気がした。
「だが・・・、強いねじれがある。しかも阿部家の場合、左か右かさえも判らないではないか?・・・」
 と、思う虎彦は、そして眼差しを、琵琶湖の北、湖西の魚津へと切り替えた。
「秋子さん・・・、清水桜(しょうずサクラ)を見に行こう!。一度、見に行こう・・・!」
 そう言う虎彦の眼には、今日までを辿ってきた阿部家の遠い遠い道のりがあった。それは一樹のサクラから眼に浮かばせる洛北山端と阿部家を結ぶ壮大な物語である。
 虎彦はさも鋭い山猫の眼に変えて、海津の春に彩る清水桜をじっと睨んだ。

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 この清水桜と阿部家の繋がりは、虎彦にはどうにも詮索したくなる不思議な深淵を感じさせる物語である。虎彦は、太古の部屋の窓から山猫の眼で、流れ着いた時間の外を眺める場面を再現しながら未だ篠笛を吹き続ける奇矯で偏屈な秋子の姿をそっとサクラの陰に重ねた。


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                             第50話に続く
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   京都 神泉苑、二条城。


  
   京都 等持院、上品蓮台寺。




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   クリック・ボタン gifA 5 gif   ひめくり古都の道
   京都 花そとば



  つきの暦  2013年2月

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Author:三馬漱太郎
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Sotarou Miuma
立体言語学博士
Social Language Academy Adviser
応用社会言語科学研究員

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